解説:令和6年度補正予算ものづくり補助金の全体像
2024/12/24
補助上限額最大4,000万円
こんにちは。
補助金申請行政書士/中小企業診断士の島田です。
関心がある方は是非ご連絡ください。
さて、令和6年度補正予算
【ものづくり補助金(正式名:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金】
この概要が発表されました。
フライヤーに「補助上限額最大4,000万円」とキャッチーな表現をしています。
ただし、4,000万円はグローバル枠のみです。
とはいえ高付加価値化枠において、
中小企業で2,500万円、特例を加えると3,500万円まで補助金が上乗せされるのは
規模の大きな設備投資をお考えの事業者にはかなり魅力的だと思われます。
他、従業員数によって補助額の上限や補助率が異なっています。
それでは以下、ポイントを一緒に見て行きましょう。
そうそう、今回のものづくり補助金では大きな変化がありました。
話の流れ的に最後になりますので、ぜひ順番にお読みになってください。
キーワードは「革新性」。
採択を目指すとすると、革新性があるかどうかが採否の重要な分かれ目です。
では、何をもって革新性というのでしょうか。
私の経験では、必須要素が2点あります。
1.同一都道府県において他社が実施していないこと。
※ただし、大規模な都道府県の場合は数社まで許容されると思われます。
2.新しい試みであると同時に、他社が真似したくなるような事業・投資であること
補助金という税金を活用して、新しい事例を政府が発掘していると考えてみてください。
1.および2.を両方満たしていると革新性があると判断されると思われます。
特に採否に関わるポイントは2.です。
審査をする方からすると、応募する事業に革新性(新規性)があり、
加えて実現性(再現性)・収益性があってこそ補助金の対象にしたい(他社のモデルケースにしたい)と判断されるでしょう。
このあたりの採択ポイントは長くなるのでここまでにします。
手が空いたら採点に係る記事を書いてみたいと考えています。
公募枠はシンプルに「2つ」となりました。
①製品・サービス高付加価値化枠
要件:革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化(「高付加価値」定量表現必須)
例:最新型の5軸CNCを導入することにより従来より精密度の高い加工を可能とする。
AIを導入することによりクイックレスポンスを実現することで、失注を限りなくゼロに近づけて売上を向上させる。
最新複合加工機を導入し、これまではできなかった精密加工が可能になり、より付加価値の高い新製品を開発する。
②グローバル枠
要件:海外事業の実施による国内の生産性向上(「生産性向上」定量表現必須)
例:輸出強化/国内において製品の開発や製造を現地にのニーズにカスタマイズしやすい設備投資を行い、展示会に出るなどして海外市場を開拓する。
海外市場獲得のため、新たな製造機械を導入し新
製品の開発を行うとともに、海外展示会に出展する。
目指すべき基本要件(①~④のすべてが必要)
①付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加
※ものづくり補助金における付加価値とは
人件費には給与、賞与、福利厚生費などを含みます。
事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、又は
給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
③事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
④次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)
※例外がありますがここでは割愛
補助上限(額・率)
①製品・サービス校付加価値化枠(カッコ内の額は特例を使った場合)
額
5人以下750万円(850万円)
6~20人1000万円(1250万円)
21~50人1500万円(2500万円)
51人以上2500万円(3500万円)
率
中小企業2分の1、小規模・再生3分の2
②グローバル枠
額
3,000万円(3,100万円~4,000万円)
率
中小企業2分の1、小規模3分の2
補助対象経費
<両枠共通>機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、
原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
<グローバル枠のみの追加対象>海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費
基本的に従来を踏襲しています。
念のために経費に関して注意すべき点をお伝えします。
詳細は公表されていませんが、今までのものづくり補助金の公募要領から判断しました。
・クラウドサービス利用費の対象期間
補助事業の期間しか対象になりません。例えば「12か月間」など。
大幅賃上げ特例
大幅な賃上げに取り組む事業者には、補助上限額の上乗せがあります。
それが上記に記載した補助上限額の(括弧)の額です。
なかなか厳しい条件があります。
見てみましょう。
「大幅な賃上げ」とは
最低賃金引き上げ特例
最低賃金の引き上げに取り組む事業者のに対し、補助率を2/3に引き上げる措置が取られます。
条件は2つ
※指定する一定期間において、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上いる事業者
※小規模・再生事業者は除く
小規模事業者とは、以下の通りです。
・卸売業・小売業・サービス業では従業員5名以下
・製造業その他では20名以下などです。
収益納付が求められません。
収益納付が求められないことが今回のトピックです。
収益納付とは、申請した補助事業がうまくいって利益が出た場合に、その利益の一部を国に納付する仕組みです。
すべての事業者の補助事業が早々に収益を生むわけではありませんが、
順調に稼げる事業者をたくさん見てきました。
で、利益が出たら返すというのもやる気が出ませんし、その収益納付の計算方法がなかなか難しい。
補助金申請支援をしている専門家に対してすら、時間を使ってレクチャーしなければいけないぐらいの面倒さ加減でした。
事業者にとっても私たち支援する側にとっても、収益納付が求められないということはありがたい方針転換です。
当然ですが補助事業でガンガン稼いで利益を出して納税しましょう!
以上、ひとまずオープンになっている情報をまとめてみました。
ものづくり補助金にチャレンジしてみたい事業者様は是非ご連絡ください。
特に革新性があるかどうかの判断は難しく、私どもにご相談いただく価値はあると思います。
それではお問い合わせをお待ちしております!!
(文責 島田)