簡単解説入門編!家族信託のメリットと仕組み
2024/12/23
認知症にならなくてもメリットを受けられるのが家族信託です
こんにちは!行政書士シーガル事務所です。
「家族信託」という言葉を聞いたことはありますか?
まだ聞き慣れない方も多いかもしれませんが、近年注目されている、大切な財産を守るための制度です。
今回は、特に認知症対策としての家族信託について、専門用語を使わずに、分かりやすく解説していきます。
難しいことは一切抜きにして、まるで友人と話をするように、気軽に読んでいただけたら嬉しいです。
第1章:もしもの時に備えて…認知症と財産管理の不安
私たちの生活には、預金、不動産、株式など様々な財産があります。
これらの財産は、私たちの人生を支える大切なものですよね。
しかし、もし認知症になってしまったら、自分の財産を適切に管理できるか、不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
認知症になると、判断能力が衰え、詐欺に遭ったり、高額な買い物をしてしまったりと、
大切な財産を失う危険性があります。
ご家族にも大きな負担がかかり、精神的にも経済的にも辛い思いをすることになりかねません。
第2章:家族信託とは? 3人の登場人物で安心を手に入れる
そこで役立つのが「家族信託」です。
家族信託とは、簡単に言うと、「信頼できる家族に、自分の財産を管理してもらおう」という制度です。
認知症になって判断能力が低下しても、大切な財産を守り、安心して暮らせるようにするための仕組みなのです。
家族信託には、主に3人の登場人物がいます。
• 委託者: 財産の所有者で、財産管理を任せる人です。
自分の財産をどのように管理したいか、誰に管理を任せるかを決め、契約を結びます。
• 受託者: 委託者から財産の管理を任された人です。
委託者の意向に従って、財産を管理します。
• 受益者: 信託財産から生じる利益を受ける人です。
今回は、委託者と受益者が同一人物としています。
委託者が自分のために財産を使えるようにするための仕組みです。
当事務所でお手伝いした実績では最も多い例です。
例えば、70歳の佐藤花子さん(委託者・受益者)が、将来認知症になった場合に備えて、
50歳の息子である太郎さん(受託者)に自分の財産を管理してもらうことを決めたとしましょう。
花子さんは、太郎さんと家族信託契約を結び、自分の預金や不動産などを信託します。
太郎さんは、花子さんの生活費の支払いや、医療費の支払いをしたり、不動産の維持管理などを行います。
第3章:家族信託の仕組み:具体的な流れを見てみよう
それでは、家族信託の具体的な流れを見てみましょう。
1. 信託契約の締結
委託者(花子さん)と受託者(太郎さん)は、公正証書という特別な書類を使って、信託契約を結びます。
この契約書には、太郎さんが花子さんの財産をどのように管理するか、どのような場合にどのように使っていくかなどが、
詳しく書かれています。 公正証書にすることで、後々の手続きがスムーズに行えるようになります。
これは、銀行口座の開設や不動産の登記などの際に必要になるためです。
※詳しく覚える必要はありません。大切なことは、家族内で契約するということです。
その契約を根拠にさまざまなことを花子さんに代わって太郎さんが行えるようになります。
2. 信託財産の選定
「信託財産」とは、信託契約の対象となる財産のことです。
花子さんは、どの財産を信託するのかを決め、太郎さんに委託します。
全ての財産を信託する必要はありません(重要)。
預金の一部や、不動産の一部などを信託することも可能です。
3. 受託者による財産管理
太郎さんは、契約書に従って、花子さんの財産を管理します。
生活費の支払い、医療費の支払い、不動産の修繕などを行います。
4. 受益者(委託者)への財産提供
花子さんは、太郎さんが管理する信託財産から、生活費などの必要な費用、趣味に使いたいお金などを受け取ります。
花子さんご自身が金融機関などに行く必要はありません。
言い換えると信託契約を根拠に太郎さんが花子さんの口座を管理しているということです。
※ここで重要なことは花子さんが詐欺などに買って大金を出そうとした場合、
受託者である太郎さんのチェックが入るということです。
財産の管理をしているとやり取りが発生します。
そのやりとりを通じて認知症の気配を感じ取ることもあります。
下に花子さんと太郎さんとの家族信託契約における関係を図解しました。
第4章:なぜ公正証書が必要なの? そして、信託監督人とは?
家族信託契約は、原則として公正証書で作成する必要があります。
これは、単なる約束事ではなく、法的効力を持つ正式な契約にするためです。
公正証書にすることで、銀行や不動産会社とのやり取りもスムーズになります。
また、家族信託契約には、信託監督人を置くこともできます。
信託監督人は、受託者の行動を監視し、委託者の利益を守る役割を果たします。
家族だけで行う場合は、第三者である信託監督人を置くことが推奨されますが、
特別な事情がある場合は、信託監督人を置かないこともあります。
この辺りは難しいのでこのブログではこれ以上掘り下げません。
※詳細をお知りになりたい方はお気兼ねなくご連絡ください
第5章:家族信託のメリットとデメリット、そして誰に向いているの?
メリット:
• 認知症になっても財産を守れる
• 家族間の争いを防げる
• 自分の希望通りに財産を使える
• 後見制度よりも柔軟な対応が可能
デメリット
• 費用がかかる(公正証書作成費用、専門家への相談費用など)
• 受託者に負担がかかる
• 手続きが複雑
家族信託は、特に以下のような方におすすめです。
• 認知症のリスクがある方
• 自分の財産を安心して管理したい方
• 家族間での相続トラブルを防ぎたい方
• 自分の希望通りに財産を使いたい方
しかし、当然ながら家族信託は万能ではありません。
ご自身の状況に合わせて、ほかの方法を考えることも必要です。
また、弁護士や税理士などの専門家に相談することが重要となることがありますから、
状況を整理した上でほかの分野の専門家にご紹介することもあります。
第6章:家族信託を検討してみませんか?
今回は、家族信託の基本的なことを、できるだけ分かりやすく解説しました。
家族信託は、少し複雑な制度かもしれませんが、将来に備えて検討する価値のある制度です。
ご自身の状況やご希望に合わせて、専門家にご相談の上、最適な方法を選択してください。
行政書士シーガル事務所では、家族信託に関するご相談を承っております。
ご不明な点やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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(文責 島田)