先手を取って勝つ! 中小企業新事業進出補助金の解説
2024/12/31
補助上限額最大9,000万円
こんにちは。
補助金を得意とする行政書士/中小企業診断士の島田です。
この補助金に関心がある方は是非ご連絡くださいね。
さて、新しく設定された中小企業新事業進出補助金。
その概要が発表されましたので、まとめます。
現段階では「公募開始時期:調整中」とのこと。
公募開始時期は事務局が決まってからですが、早めに準備したほうが勝てます。
そこで早めに今回まとめました。
新たに補助金が公募されるときのチェックポイントは事務局公募。
その状況をwebで確認したところ、2024年12月5日段階で事務局公募の(案)がありました。
事務局が決まらない状況では確定情報が公表されないため開始時期は不明ですが、
記事のこの先を読んでいただいて関心を持たれたら、先んじて準備しておきましょう。
さて、今回の中小企業新事業進出補助金も従業員数によって補助額の上限や補助率が異なっています。
それでも従業員数20名以下の場合でも補助額2,500万円(特例適用の場合3,000万円)は大きいですね。
※特例適用(大幅賃上げ適用事業者)については後で解説します。
それでは以下、ポイントを一緒に見て行きましょう。
この補助金事業は、かつての「事業再構築補助金」と似ている?
いま、自社が持っている有形・無形資産を活用して新分野に進出する、という構図は
事業再構築補助金ととても似ています。
フライヤー(チラシ)にはこのように書かれています。
「新規事業への進出により、企業の成長・拡大を図る中小企業の皆様へ」
「新規事業への挑戦を目指す中小企業の設備投資を促進!!」
「既存の事業とは異なる、新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等を支援」
補助対象者は「企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等」
活用イメージが2例挙げられています。
• 機械加工業でのノウハウを活かして、新たに半導体製造装置部品の製造に挑戦
• 医療機器製造の技術を活かして蒸留所を建設し、ウイスキー製造業に進出
事業再構築補助金の「新分野展開」にとてもよく似ています。
※新分野展開では①製品等の新規性要件、②市場の新規性要件 でした。
となると事業計画の立て方(政府が促進したい事業計画の「作らせ方」)は
「新分野展開」と構図が似ていると思われます。
目指すべき基本要件(①~④のすべてが必要)
基本要件には特徴があります。
※ものづくり補助金と比較しておきます。
①付加価値額の年平均成長率が+4.0%以上増加
※もの補助では+3.0%以上増加
②1人あたり給与支給総額の年平均成長率が
事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、又は
給与支給総額の年平均成長率が+2.5%以上増加
※もの補助では+2.0%以上増加
③事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
※もの補助と同じ
④次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等
※もの補助では(従業員21名以上の場合のみ)でした。
④次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等
補助上限(額・率)
◆補助額
従業員数20人以下 2,500万円(3,000万円)
従業員数21~50人 4,000万円(5,000万円)
従業員数51~100人5,500万円(7,000万円)
従業員数101人以上 7,000万円(9,000万円)
※補助下限750万円
※大幅賃上げ特例適用事業者に補助額加算
(次項で詳細を書きます。)
◆補助率
一律2分の1
※もの補助では中小企業2分の1、小規模・再生3分の2
これらから、いくつか考えなければならないことが見えてきます。
1.補助下限750万円ということは、投資額1,500万円(税抜き)以上の事業であることが求められる
2.小規模事業者においては、両方に応募できる事業内容の場合は、
補助率の高いものづくり補助金にするか、中小企業新事業進出補助金を選ぶか、判断することになる可能性がある
(※両方に応募する選択が出るかもしれません)
補助対象経費
建物費、構築物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、
専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、
知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費
●事業再構築補助金のように建物費が対象経費に入ったことがトピックです。
事務局から指摘があり減額になったことが頻発したようです。
建物費が全体の経費に占める率は高いことが多いため、
対象になるかどうか事前に確認しておくことが必要でしょう。
気になる方はどうぞ当社にお尋ねください。
大幅賃上げ特例(未達にペナルティあり!)
大幅な賃上げに取り組む事業者には、補助上限額の上乗せがあります。
それが上記に記載した補助上限額の(括弧)の額です。
この条件はものづくり補助金と同じです。
その「大幅な賃上げ」とは
(1)給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加
(2)事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準
※最低賃金引き上げ特例事業者、各申請枠の上限額に達していない場合は除きます。
※上記(1) (2)のいずれか一方でも未達の場合、補助金返還義務があります。
この「補助金返還義務」がすべてを指すのか一部を指すのか不明ですが、
状況によっては大幅賃上げ特例を使うかどうかをあらかじめ判断する必要が生じる可能性があります。
収益納付が求められません。
収益納付が求められないことも今回のトピックです。
収益納付とは、申請した補助事業がうまくいって利益が出た場合に、その利益の一部を国に納付する制度です。
ものづくり補助金からも収益納付がなくなりましたね。
どうやら収益納付制度をなくしていく方向なのかもしれません。
それではお問い合わせをお待ちしております!!
(文責 島田)