ノウハウ公開/小規模事業者持続化補助金2024年度版:公募情報と採択されるための事業計画書作成のポイント
2025/03/17
小規模事業者の皆様に朗報です。
長らく公募が停止されていた「小規模事業者持続化補助金」が再び募集を開始しました。
この補助金は、販路開拓や生産性向上の取り組みを支援するもので、事業の発展に大いに役立ちます。
今回は、その概要と、採択されるための事業計画書作成のコツをお伝えします。
小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等が自社の経営を見直し、
持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する制度です。
具体的には、以下のような取り組みが補助対象となります。
- ・新たな市場への参入に向けた売り方の工夫
- ・新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発
これらの取り組みに要する経費の一部を補助することで、
地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的としています。
1.あなたは対象となる? 小規模事業者持続化補助金2025年度版の概要
●対象となる事業者
小規模事業者持続化補助金の対象となるのは、文字通り「小規模事業者」です。
具体的な定義は以下の通りです
・商業・サービス業:常時使用する従業員の数が5人以下
・商業サービス業のうち、宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数が20人以下
・製造業その他:常時使用する従業員の数が20人以下
注目すべき点は、資本金の額は関係なく、従業員数のみで判断されることです。
個人事業主の方も対象となりますので、幅広い事業者の方々が申請可能です。
募集枠と補助上限額
今回の公募では、募集枠が大幅に簡素化され、主に2つの枠組みとなりました。
- 一般型・通常枠
- ・原則上限:50万円
- ・特例要件該当の場合:最大250万円
- 創業型
- ・原則上限:200万円
- ・特例要件該当の場合:最大250万円
申請期限
両方の枠とも申請締切は 2024年6月13日(金) となっています。
申請には事前準備が必要ですので、この期限に向けて計画的に進めていくことをお勧めします。
申請における注意点
小規模事業者持続化補助金の特徴として、申請前に必ず地元の商工会議所または商工会の確認が必要となります。
ご自身の地域にあるのが商工会議所か商工会かを事前に確認しておきましょう。
どちらであっても審査上の有利不利はありませんのでご安心ください。
2. 採択されるための事業計画書作成の基本的な考え方
事業計画書は単なる申請書類ではなく、
審査委員に「この事業者に補助金を出す価値がある」と思わせるためのプレゼン資料です。
以下のポイントを心がけましょう。
全体的な視点
- ①一貫性を持たせる:現状の課題から解決策、期待される効果までが論理的につながっていることが重要です。
- ②具体性を重視する:抽象的な表現よりも、数字や具体例を盛り込むことで信頼性が高まります。
- ③差別化を明確に:他の応募者との違いを明確にすることで、記憶に残る申請になります。
- ④実現可能性を示す:壮大な計画より、確実に実行できる現実的な計画のほうが高評価につながります。
審査項目を意識した構成
公募要領に記載されている審査項目をそれぞれ押さえることが重要です。公募要領では以下の項目が評価されます:
- ①自社の経営状況分析の的確さ
- ②事業計画策定の論理性と実現可能性
- ③地域経済・地域社会への波及効果
- ④経営力向上への取組姿勢
これらの項目にしっかりと対応した内容を盛り込むことで、審査においてより高い評価を得ることができます。
3.審査項目別:事業計画書作成のポイント
審査項目を読み解いて整理しましょう。
項目1:自社の経営状況分析の的確さ
●審査委員が見ているポイント
- ・自社の強み・弱みを客観的に分析できているか
- ・外部環境(市場動向、競合状況など)を正確に把握しているか
- ・データや具体的な数字に基づいた分析がなされているか
○効果的な書き方のコツ
- ①SWOT分析を活用する:自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を
整理しましょう。活用のコツは、外部要因(機会・脅威)から洗い出すことです。 - ②数字で語る:「売上が減少している」ではなく「過去3年間で売上が20%減少している」など具体的に示します。
- ③業界内での自社のポジショニングを示す:競合との差別化ポイントを明確にしましょう。
- ④課題を明確に:現状分析の結果として浮かび上がる課題を簡潔に示します。
項目2:事業計画策定の論理性と実現可能性
●審査委員が見ているポイント
- ・課題解決のための施策が論理的に説明されているか
- ・計画の実現可能性(資金計画、スケジュール、人員配置など)
- ・補助金の使途が明確で効果的か
○効果的な書き方のコツ
- ①課題と解決策の明確な対応:「〇〇という課題に対して、××という施策を実施する」という形で対応関係を明確にします。
- ②ロードマップの提示:単年度だけでなく、中長期的な視点でのステップを示すと説得力が増します。
- ③具体的な数値目標の設定:「売上を増やす」ではなく「1年後に売上を20%増加させる」など具体的な目標を設定します。
- ④リスク分析とその対策:想定されるリスクとその対応策も記載すると、計画の現実性が高まります。
項目3:地域経済・地域社会への波及効果
●審査委員が見ているポイント
- ・事業が地域経済の活性化にどのように寄与するか
- ・地域の課題解決に貢献しているか
- ・地域内での連携や協働が含まれているか
○効果的な書き方のコツ
- ①地域資源の活用:小規模事業は地域密着。地域の特産品や人材、文化的資源などの活用方法を具体的に示します。
- ②地域内連携の具体例:地元企業や団体との協力関係を明示します。
- ③雇用創出効果:事業拡大による新規雇用の見込みがあれば強調しましょう。
- ④地域課題との関連性:地域が抱える課題(過疎化、高齢化など)との関連で事業の意義を説明します。
項目4:経営力向上への取組姿勢
●審査委員が見ているポイント
- ・補助事業を通じて自社の経営力をどのように向上させるか
- ・持続的な成長への意欲と具体的な取組
- ・経営者自身の成長意欲や自己研鑽
○効果的な書き方のコツ
- ①経営指標の改善目標:売上だけでなく、利益率や生産性などの向上目標も示します。
- ②人材育成計画:社員教育や技術向上のための取組を記載します。
- ③IT化・DX推進:業務効率化やデジタル化への取組があれば積極的に記載しましょう。
- ④SDGsへの取組:環境配慮や社会貢献活動も評価されます。
4.採択事例から学ぶ成功のポイント
過去の採択事例を分析すると、以下のような共通点が見られます。
これらを参考に事業計画書を作成します。
○成功事例に見られる特徴
- ①明確な差別化ポイント
採択された事業計画の多くは、「他社にはない独自の強み」を明確に打ち出しています。
例えば、特許技術の活用や独自のサービス提供方法など、差別化要素が具体的に示されています。 - ②地域課題との結びつき
地域の課題解決に貢献する事業計画は高く評価される傾向にあります。
例えば、過疎地域での買い物難民対策や地域の伝統技術の継承など、地域特有の課題に取り組む内容が含まれています。 - ③実現性と成長性のバランス
野心的すぎる計画よりも、着実に実行できる現実的な計画がベースにあり、
そのうえで将来の成長展望が示されている事例が多く見られます。 - ④数値目標の明確化
「○年後に売上○○%増」など、具体的な数値目標を設定し、それを達成するための段階的なプロセスが示されています。
●採択されにくい事例の特徴
反対に、採択されにくい事例には以下のような特徴があります。
- ①一般的・抽象的な表現が多い
「顧客満足度を向上させる」「品質を高める」など、具体性に欠ける表現だけでは評価されにくいです。 - ②設備投資が目的化している
単に設備を更新するだけで、その先の展開が見えない計画は評価されにくい傾向にあります。 - ③補助金依存の姿勢
補助金がなければ事業が成立しないような計画にしてはいけません。
補助金はあくまで「推進力」であり、事業の根幹ではありません。 - ④他社との差別化が不明確
業界内の一般的な取組と区別がつかない内容では、審査で埋もれてしまいます。
5.シーガル事務所による申請サポートについて
ここまで読んでいただいた方はご理解いただけると思いますが、
当事務所は事業計画策定の基本的な経営コンサルティングを行っています。
あなたは上記のどの点を強調して書くべきでしょうか。事業者様によって当然異なります。
自社が行おうとしていることと経営者を含めた自社の強みとつなげた上で
事業計画書に落とし込むことが申請/採択の要諦です。
シーガル事務所では、その整理からお手伝いします。
そのため、多くの補助金・助成金申請のサポート実績を持ち、
小規模事業者持続化補助金においても高い採択率を誇っています。
インターネットを通じて当事務所にお問い合わせいただくケースも増えており、全国各地の事業者様をサポートしています。
まとめ:成功への道筋
小規模事業者持続化補助金の採択を目指すには、単なる申請書の作成ではなく、
事業の強みを活かした説得力のある事業計画の策定が重要です。以下のステップで進めていきましょう。
- ①自社の強み・弱みを客観的に分析する
- ②市場環境と顧客ニーズを正確に把握する
- ③具体的な数値目標を設定した実現可能な計画を立てる
- ④地域経済への貢献を意識した内容にする
- ⑤経営力向上への姿勢を明確に示す
申請締切の6月13日まで、まだ少し時間がありますが、良質な事業計画書の作成には十分な準備期間が必要です。
早めの準備開始をお勧めします。
以上のように、経営コンサルティング事業を行う当シーガル事務所では、
皆様の事業の持続的発展をサポートするため、専門的な知見と経験を活かした申請支援を提供しています。
小規模事業者持続化補助金で事業を加速させましょう。
お問い合わせをお待ちしています。