行政書士シーガル事務所

家族信託の全体像を解説!設定プロセスとメリット

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家族信託の全体像を解説!設定プロセスとメリット

家族信託の基本をまとめました。

2024/05/10

「なんとなく。でもわかる」家族信託の全体像

こんにちは。
島田です。


今回は家族信託の全体像がなんとなくでもわかる解説をします。
流し読み、拾い読みで結構ですのでどうぞご覧ください。

第1章 これが家族信託の概要!

家族信託は、資産の承継や管理を目的とした信託の一種です。
家族信託は、設定者が自らの資産を受託者に移転し、受益者のために管理・運用してもらう仕組みです。 
家族信託の主な目的は以下の通りです。 

1. 資産の円滑な承継 遺言だけでは資産の承継が複雑になる可能性がありますが、
家族信託を活用することで、相続人への資産移転をスムーズに行うことができます。

 2. 資産の保護 離婚や債務整理の際、信託に移転された資産は保護される可能性があります。
また、受益者が未成年者の場合、その資産を保護し適切に管理することができます。

 家族信託の仕組みは以下の通りです。
 設定者(委託者)が自身の資産を信託に移転し、受託者にその資産の管理・運用を委ねます。 
受託者は設定者の指図に従って資産を管理し、将来的に受益者に資産を承継させます。 受益者は通常、委託者本人や配偶者、子供などの家族となります。
信託期間中、受益者は受託者から定期的に収益の分配を受ける権利を有しています。
信託期間が終了すると、指定された者に残余財産が移転されます。

 このように、家族信託は資産の承継や管理、家族の保護を目的とした柔軟な仕組みであり、適切に活用することで様々なメリットを享受できます。家族信託を活用される方は専門家に相談しながら、ご自身の状況と目的に合った信託を設計する必要があります。

第2章 資産承継における家族信託の利点とは!?

財産の保全と管理、そして世代を超えた資産承継に活用できます。

家族信託では資産を受託者に移転(名義変更)することで、様々なリスクから財産を保護することができます。
例えば、離婚や債務整理の際には、信託に移転された資産は保護される可能性があります。
また、受益者が認知症になったり、また、未成年者や成年被後見人の場合でも、受託者がその資産を適切に管理・運用してくれます。 さらに、家族信託は設計の柔軟性が高く、設定者の意向に沿った運用ができるのも大きな利点です。例えば、受益者への分配時期や金額、受益者の範囲など、細かな指図を出すことができます。

このように、家族信託は財産の保全と管理、資産承継におけるメリットが大きいと言えます。

第3章 家族信託。実際に何するの?どんな順番なの?

家族信託の契約です。そのため設定プロセスが複雑ですから、慎重に進める必要があります。

まず、自身の資産状況や承継ニーズに合った信託の種類を選ぶことが重要です。 信託を実際に設定するための手続きとしては、具体的には、信託契約書の作成、資産の信託移転、受託者の選任などが必要となります。 

信託契約書には、設定者の意向に沿って受益者、分配ルール、信託期間などを定めます。資産移転(名義変更)の手続きにおいては、不動産や有価証券、現金など、信託に移す資産を特定する必要があります。そして、信託財産を管理する受託者には倫理性の高い人を選任しなければなりません。 

このように、家族信託の設定には複雑な法的手続きが伴うため、行政書士などの専門家に相談することが非常に重要です。信託の種類を検討する際も、ご自身に最適な選択ができるようアドバイスを求めましょう。 契約書の作成や資産移転の手続きについても、専門家とともに慎重に進めましょう。
 このように、家族信託の設定には行政書士などの専門家の関与が必須です。計画段階から運用に至るまで、第三者の視点を得るためにも専門家に相談することが望ましいと思われます。

第4章 家族信託のメリット!

家族信託には様々なメリットがあり、資産の適切な承継と管理、次世代への円滑な資産移転、家族間の紛争回避などが主なものとして挙げられます。

 まず、資産の適切な承継と管理にあたり、受託者を信頼できる家族や親戚などにできることがメリットです。この点が信託銀行などの「商事信託」と異なます。とはいえ、信託について受託者が必ずしも詳しいとは限らないため、状況により、信託監督人を設定するなど工夫が必要な場合があります。

 次に、次世代への円滑に資産を移転できることが家族信託のメリットです。遺言書だけでは資産承継が複雑になる可能性がありますが、家族信託を活用することで、スムーズな移転を実現できることがあります。
受益者に分配される時期やルールなども、設定者の意向に沿って柔軟に設計できることが家族信託の最も大きな特徴です。
委託者(ご自身)がお持ちの様々なニーズに対応できる柔軟性の高さが、家族信託の魅力です。

 もちろん、家族信託には制度やコストの面でデメリットもあります。しかし、資産の適切な承継と管理、次世代への円滑な移転、家族間の紛争回避といったメリットは大きく、総合的に判断すれば、家族信託が有力な選択肢となる場合があるでしょう。

第5章 信託のコストにも注意!

家族信託を設定・運用する上で、コストの問題は無視できません

まず信託期間の長さが、コストに大きく影響します。受託者や信託監督人の報酬ありとした場合、長期にわたり報酬が発生するため、総額は高額になる可能性があります。

 次に、遺言など他の承継手段との整合性の確保が重要です。家族信託と遺言の内容が矛盾していると、紛争を招きかねません。このため、遺言作成時に信託の内容を考慮し、反映させる必要があります。これには専門家の手続きが欠かせず、追加のコストが発生します。

 また、信託契約書の作成や資産移転(不動産の名義変更など)の手続きなどにも、専門家へのコストがかかります。これらは一時的な初期コストですが、決して軽視できる金額ではありません。 

他にも継続的なコストが発生します。具体的には、不動産の修繕など資産管理の費用、税理士や専門家への報酬などです。長期にわたれば、これらの累積額は増大します。 

このように家族信託にかかるコストは無視できませんが、その一方で、資産の保護・管理や承継の円滑化など、信託のメリットも大きいのが事実です。コストを抑える工夫はしつつ、家族信託の本来の目的を損なわないバランスを考えることが重要です。 メリット・デメリットを十分に理解し、コストを一定の範囲に収めつつ、信託の利点を最大限に活かすことができるはずです。

第6章 節税について

家族信託が世の中に浸透してきた結果か、最近はあまり聞かれなくなりましたが念のために記載します。

一般的に、家族信託においては登録免許税など一部を除き節税のメリットはないとご理解ください。 

なお、自社株式を信託財産とした事業承継を行う場合等で、節税につながる場合もあります。ただし、スキームが複雑になるため恐縮ですが今回のブログでは割愛致します。

第7章 今日のまとめ

以上の章を通してご理解頂けるように、家族信託は資産家にとって資産承継の有力な選択肢となりえるでしょう。
円滑な資産移転、信頼できる人に託す資産管理、家族紛争の回避など、様々な利点があるためです。

とはいえ、家族信託の設定と運用には多くの専門性が求められます。信託の種類の選定、契約書の作成、資産の移転手続き、受託者の選任など、自身で行うには高いハードルがありますからぜひ専門家に相談してください。信託に精通した専門家を探して相談し、自身の状況に合った信託の設計を依頼することお勧めします。設定者の資産状況やニーズを把握した上で、最適な信託の種類を提案し、メリット・デメリットを丁寧に説明してくれるはずです。 


信託設計が固まれば、次は契約書の作成や資産移転・名義変更の実務へと進みます。ここでも専門家のサポートが必須となります。契約書は信託の根幹を定める重要な文書ですから、細部にわたり専門家と綿密に打ち合わせを重ね、ミスのない内容にする必要があります。 


また、信託財産となる現預金は原則として信託口口座と言われる特殊な口座を開設して管理します。信託口口座の開設には契約書をの公正証書にすることが必要となります。加えて信託口口座を開設できる金融機関は限られています。金融機関選びにも専門家を活用できるでしょう。 


このように、家族信託の計画から設定、先々の資産管理に至るまで、専門家とチームを組むことが何より重要です。できるだけ早期に家族信託の準備を始め、専門家と綿密に連携を取りながら対応したいですね。そうして、貴重な資産を守り、次世代に確実に承継させ家族間のトラブルが起きないように手を打っておきましょう。


今回は、以上です。
行政書士・中小企業診断士・家族信託専門士 島田でした。

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