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終活についての任意後見契約と法定後見の比較 行政書士が解説

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認知症対策としての成年後見制度 任意後見と法定後見どちらを選ぶべき?

認知症対策としての成年後見制度 任意後見と法定後見どちらを選ぶべき?

2024/07/04

近年、高齢者人口の増加に伴い、終活という言葉が注目を集めています。そして、その中で、認知症対策としての成年後見制度についても注目が集まっています。成年後見には任意後見と法定後見があり、何が違うのか、自分はどちらを選ぶべきなのか、と悩む方も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では、行政書士の立場から、任意後見と法定後見の比較解説を行います。

目次

    終活とは

    終活とは、人生の最期に向けた準備や手続きを行うことを指します。これは、遺言書作成や受ける医療の意思決定、葬儀の手配など様々な分野にわたります。行政書士は、終活のプランニングや関連手続きのアドバイスを行うことができます。突然の事故や病気によって、終活をしないまま人生の終焉を迎えると、遺された家族や友人にとっても、追悼の時間が不安やトラブルによって台無しになってしまいかねません。終活を行うことで、自分の意思をしっかりと残し、安心して人生の最期を迎えることができます。このような大切な終活手続きについては、行政書士に相談しましょう。

    任意後見契約とは

    任意後見契約とは、認知症等により判断能力が衰え、意思決定能力が制限された方の利益を保護するための契約です。任意後見契約は、本人が、認知症になるまえにあらかじめ任意後見人を指定することで、万が一のときには後見人による対応や手続きをスムーズに行うことができます。ただし、後見人には責任が伴うため、慎重に選ぶ必要があります。また、任意後見契約は、本人の意思を尊重するために、可能な限り本人と相談しながら作成することが望ましいとされています。行政書士が適切な手続きを行うことで、本人の利益を守り、安心して暮らせるようにサポートします。

    法定後見とは

    法定後見とは、認知症などにより意思決定能力が低下した人を支援するために、法律上存在する制度です。法定後見は、認知症となった方の家族や周りの方が家庭裁判所で所定の手続きをとることで、家庭裁判所が指定した後見人が、認知症となった方の財産管理や身上保護を担当します。後見人は、被後見人(認知症となった方)の利益を最優先し、その身近な人と連携を取り、生活支援や財産管理などを行います。後見人の責務は重く、定期的に被後見人の状況を把握することが求められます。また、被後見人本人の意思を尊重しなければならず、そのためには十分なコミュニケーションが必要とされます。法定後見は、被後見人の自立を促進し、社会参加を支援する重要な制度であり、行政書士としてもその重要性を認識して、適切な支援を行っていくことが求められます。

    任意後見と法定後見の比較

    これまで、任意後見と法定後見の解説をしてきました。それでは次は、それぞれの特徴を比較してみましょう。

     

    1.家庭裁判所で手続(申立て)をする人は?

      A 任意後見では、本人と任意後見契約をした人が申立てを行います。

      B 法定後見では、本人が意思表明できない場合、家族や周りの人、住んでいる市区町村長が申立てることができます。

    2.誰が後見人になるの?
      A 任意後見では、本人が自由に後見人を選ぶことができます。
      B 法定後見では、裁判所が後見人を選定します。

    3.柔軟性と緊急性
      A 任意後見は、来る将来的な不安や予測可能な状況に対応するための制度です。緊急性には欠ける一方で、契約内容を自由に決めることができるため、柔軟性は非常に高いです。
       B 法定後見は、すでに認知症で判断能力が衰えた方のための救済制度ですので、迅速に対応できるため緊急性は高いです。一方で、 後見人の業務内容は法律で決められているため、柔軟性は低いといえます。

     

    任意後見と法定後見は、それぞれの状況に応じて適切に選択することが重要です。将来の不安を軽減するための「終活」という意味では、任意後見を活用することが有効と言えるでしょう。一方で、突然の事態に備えるために法定後見も重要な救済制度です。自分の未来を守るために、家族や専門家と相談しながら、適切な後見制度を見極めていきましょう。

    終活として選ぶ任意後見

    認知症となり、自分で自分の意思を表明できなくなった際、自分の財産や健康を守るために任意後見契約はとても有効な手段です。

    認知症になる前に、本人が、信頼できる人を後見人に指定することが最大のメリットと言えます。これにより、身近な信頼できる人や専門家を選んで、認知症発症後も自分の意思や価値観を尊重した財産管理や健康管理をしてもらいましょう。後見人は、本人の利益・幸せを最大の基準として判断し決定を行うため、安心して将来を任せることができるでしょう。

    なお、後見人を決める際や決めた後は、積極的に家族や周りの方に相談・報告し、任意後見人が家族等と円滑なコミュニケーションを取れるように心がけてください。任意後見人が、自分の家族や周りの人と良い関係を築けるかどうかは、ご自身の生活の幸福度を大きく左右します。

    任意後見契約を活用することで、認知症になった後の人生も、しっかりと自分でコントロールすることができます。意思を表明できない状況になった場合でも、事前に後見人を選ぶことで自分の意思が尊重され、自分らしい生活を維持できるという安心感を得ることができます。

    ご自身の将来に備えるために、早めに準備を進めていくことが大切です。

    任意後見契約の費用について

     

    任意後見を活用するにあたっては、以下のような費用が必要となります。なお、この金額はあくまでも参考程度の数字として考えてください。

    1.申立手続き費用
     家庭裁判所に任意後見を申し立てる際には一定の手数料が必要です。手数料の金額は地域や裁判所によって異なる場合がありますが、大まかに言えば3000円前後と考えてください。

    6.後見人に支払う報酬

    後見人には、任意後見を遂行するための報酬が支払われることが一般的です。後見人の業務内容や契約によって異なりますが、月額3万円程度をベースとしているところが多い印象です。ただし、管理する財産総額等も影響しますので、契約相手となる人に確認してください。

    3.証明書等の手続き費用
     任意後見契約を締結する際には、公的な証明書類等を取得する必要があります。たとえば、ご本人やご家族の戸籍謄本等です。なお、戸籍謄本は1通450円、除籍謄本は1通750円です。

    4.後見人の交通費や通信費等
     後見人が業務を遂行する際に発生する交通費や通信費、必要に応じての会議や手続きにかかる費用が発生する場合があります。これらの費用は後見人の業務内容や契約によって異なります。

    5.任意後見監督人に支払う報酬

    任意後見は、申立てを行うと、裁判所から「監督人」が指定されます。この監督人は任意後見人が本人の財産を適切に管理しているか監督する機能を果たします。監督人をつけないと任意後見は始まりません。この報酬は月額1万円~財産総額に応じて変動すると考えてください。

    6.その他の費用

    その他、特定の状況に応じて発生する可能性のある費用があります。たとえば、特別な法的支援やコンサルティングサービスの利用に伴う費用、任意後見の内容や状況によって異なります。

    任意後見に関連する費用は、後見人との契約内容などによって異なるため、具体的な状況に応じて詳細な情報を確認することが必要です。また、費用については事前に予算を立てて、準備を進めることが重要です。

    さいごに

    任意後見契約は、ご自分が認知症になった後の人生を託す大切な契約です。ぜひ、よく検討を重ねたうえで契約してください。

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